1月の活動、森浩美さん著『家族往来』書評。

こんにちは。またまた、部長の高倉です!
1月は皆、多忙で集合できなかったこともあり、わたくし高倉と、臼井由美の2名が書いた書評を掲載することにしました。

今年は書評や本にまつわる人物へのインタビューなどもアップしていこうと思っていますので、どうぞお楽しみに!

さて最初に取り上げるのは、森浩美さんの最新刊『家族往来(かぞくおうらい)』(双葉社、1680円)です。

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【書籍について】
 双葉社から刊行されている森浩美氏の家族小説も今作で6作目。累計38万部を突破した人気シリーズ。

両親から受け継いだ花屋の経営が立ち行かず、妻の弟に借金を打診する正克。店を畳みたくない理由のひとつに、シングルマザーの従業員・和歌ちゃんの存在があった。(「お福分け」)。バツイチの舞子、未亡人の柚子とともに“アラフォー・シングル3人組”の玲子。企業内起業制度で関連会社の社長になったものの、仕事も、父親との関係もうまくいかず……。(「父と名刺と私」)。千尋は弟から掛かってきた電話に面食らう。「でさ、姉ちゃん、悪いんだけど、コロッケ作ってくんない?」。じつはコロッケには姑にいじめられ、苦労した亡き母との切ない思い出があったのだ。(「コロッケ泣いた」)。

 読後、心に温かい気持ちが満ち、希望の光が差す8話の短編を収録する。前シリーズの続編的な物語があったり、同じ人物がちらりと登場したりと遊び心もいっぱい。登場人物の誰かに共感したり、大切な人に「ありがとう」と伝えたくなる――。そんな優しい作品集だ。


※8話のなかから、好きな1作を選んで書評しました。

「空箱の中身」
私の実家はいま父と母がふたりで暮らしている。帰省するたびにふと思う。「この家が父と母の終の棲家になるのだろうか?」と。古い家だからリフォームするか、思い切って建て直すか、それとも手放してマンションなどに引っ越すのか。さまざまな選択肢があるけれど、ふたりともまだ元気なので結論は先送りにしている。娘としては両親が一番快適に暮らせる場所を選んでほしいのだが、いまの家を「建て直そう」「手放そう」ということになったらちょっと寂しいだろうな……とも思う。柱の傷にしろ、飼い犬を撫でていた縁側にしろ、庭の桜の木にしろ、眺めるたびに家族の思い出が蘇ってくるから――。「空箱の中身」を読んだら、実家のことを思い出してホロリとしてしまった。そして父にも母にも長生きしてほしいし、親孝行をしなくては、と思うのだった。
主人公の斎藤は広告代理店に勤める55歳。3年前に妻を亡くし、もうすぐ結婚する娘の美穂とふたりで暮らしている。娘が嫁いだあと、ひとりで住むには広い一軒家を手放すかどうか迷っていたある日、妻が残した箱を見つけて……。妻の形見の「小さな箱」と、家という「大きな箱」。その対比がエッセンスとして効いた名作だ。(高倉優子)

「雛の手」
エリカちゃんはもう小学生になっていたんだ! 
どこか見覚えのある名前と家族……と思いつつも、森さんの「仕掛け」だと気づいたのは最後の方でしたが、『家族の言い訳』の中の、あの「短くなったクレヨン」に涙したときのことがまた蘇りました。血が繋がっていない娘に対する深い愛情。自分の本当の子どもを持つことへの拭いきれない不安。自分を捨てた(と思っていた)母親との距離が少しずつ埋まっていく時間。公園、赤ちゃん、指を握る仕草……。辛い思いをして育った彼を包み込んだこのときの光景がまるで映像を観ているように再び目に浮かんできました。抜群の行動力を持って、ちょっと自信なさげな夫を盛り立てる妻は男前で心底温かい人。こんな2人が作る家庭で新たに生まれる命がどのように育っていくのか……。これからの物語を楽しみにしたいと思います。(臼井由美)
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by girls-book | 2013-01-30 15:00 | 本の紹介

OL、経営者、整理収納アドバイザー、編集者、ライターなど。読書好きのメンバーが不定期で東京のカフェやレストランに集まり、1冊の課題本について座談会スタイルで語り合っています。題して「本のある女子会」。


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